【短編】ホシゾラドライブ

短編集
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注意事項:本作は飲酒運転を推奨する意図はありません。飲酒運転は重大な犯罪行為であるだけでなく、あなたの家族や他のドライバーに多大なる迷惑をかける行為です。絶対にやめましょう。

本作のアイキャッチ画像は国立天文台(https://www.nao.ac.jp/gallery/)よりお借りいたしました

本作は以前からアイデアだけあった短編を「調和した秩序のCOSMOS」氏(@CHAOS_on_COSMOS)のこちらの企画に応募するために一部改変したものとなります。

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「そこのおねーさん、ヒマ?どっか遊びに行かない?」
「ナンパならもう少し人通りの多い所にした方が良いわよ。更に言うと私人妻」

中指を立て、チャラそうな茶髪ロン毛の若者を追い払う。星空の下で薬指の指輪が微かに光った。

「というより、アナタ酒臭いわよ。こんな夜中に山の上の天文台まで歩きじゃないだろうし、飲酒運転?」

近くの自販機でブラックコーヒーを二本買い、一つを若者に放ってやる。

「ま、別に私は警官じゃないし、詳しくは聞かないけどね。三十過ぎてからおねーさんなんて呼ばれたの久々だし、少しだけ気分が良いです。コーヒー飲む間くらいは話聞いてあげるわ」
「いや実は彼女と喧嘩したんすよ。で、カッとなって車乗って飛び出してきたってワケです。そりゃ、飲酒運転が犯罪って事は知ってますけど……」

「なんだ、私と同じか」

意外そうな顔で、彼が私のほうを見た。

「旦那も私も結構な激務でねー、何とか予定合わせて明日久々にデートしようって約束してたんだけど、急に出張入ったとかって言われてさ。つい怒っちゃって、旦那が私と自分の次に大事にしている車に飛び乗り、あてどなく走ってたら初めてデートした時の天文台に来てたってわけ」
「いいんすか?そんな大事な車勝手に乗ってきて」

「良いのよ、旦那より私の方が運転上手いから。アレはあなたの車?趣味にケチ付ける気はないけど、車検通らないでしょ。タイヤつるっつるじゃない」
「いやー、喧嘩の理由っていうのが実は車についての話なんですよ」

バツが悪そうに頭を掻く彼。

「ま、飲酒運転で帰って事故でも起こしたらきっと彼女悲しむわよ。それ飲んだら今夜は車中泊して、帰ったら彼女さんに謝りなさいな。じゃ、飲み終わったし私帰るわね」
「はい、いきなり声かけたりしてすんませんでした。コーヒー、ごちそうさまです」

意外と素直な彼にウィンクを一つ送り、キーを回す。満天の星空の下に、エンジン音が一つ響き渡った。

MaEm

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